カミングアウトからはじまった恋
これは、私が20歳の頃の話です。
私は中学生頃から男の子を好きになったりもしましたが、仲のいい女の子の友達を気になったりと、恋愛ではどちらも好きなんだなと気がつき始めました。
しかし、周りにこんなことを知られたら友達を失うのではないか、変な目で見られるのではないかという恐怖心で誰にも打ち明けることは出来ませんでした。
そんな日々を過ごして大学生になりました。
私は初めて親元を離れて田舎だった地元を飛び出し、都会で一人暮らしすることになりました。私は、生活費を稼ぐためにいろんなバイトをしていました。その中の一つで、夜のバーで働くことにしました。
バーで働いたのには、お金が良かったからということもありますが、私のような女も好きな人に出会えるのではないかという、期待もあったのです。
そしてある日、バイトをしていると常連客の女性と仲良くなりました。その方は、私よりも2歳年上で働いておりとても、大人っぽい女の方でした。2歳しか違わないのに、人生経験がたくさんありそうな落ち着いた方で、私は一方的にステキな人だなと憧れていましたが、これが恋かはわからない状態でした。
そしてある日、その女の人がかなり酔っ払った感じでお店に入ってきました。
それで「どうしたんですか?」と聞くと、ちょっと嫌なことがあったんだと言ったのです。それで、私でよければ話聞きますよと、いうと「好きな人に振られちゃった、恋愛に失敗した」と答えたのです。
それで私は、こんなに綺麗な人を振るなんてなんて贅沢な人だろうと思いました。そして一緒にお酒を飲んで振られた人の話を聞いていました。
すると、なんだかよくよく聞いてみると相手の方がもしかして男じゃなくて、女のなのかなと思いました。なぜなら、ヒールの靴や、服の貸し借りをしていたなどといっていたからです。
それで思い切って「もしかして恋人だったひとって女の人?」と聞くとそうだよと平然として答えられました。地元の田舎でもしこう答えたらすごく話題になるし、偏見の目で見られるので絶対に答えることは出来ません。
でも、やっぱり都会だからみんな堂々とカミングアウトするんだなとビックリしてしまいました。
それで私も思い切って「私もなんですよ!」と明るくカミングアウトしてしまいました。
すると「そうなんだ!」ととても嬉しそうにしてくれて、それからお互い少しずつですが、意識するようになっていったのです。
どんどん親密になる常連の女性との仲
それから、その女の方がバーに来るたびに私たちはいろんな話をしました。仕事の話から、私生活の話、今までの恋愛話などです。
私は、今まで女の人とお付き合いしたことはなかったのですが、なんとなく片思いをしたことは何度かあることを話しました。
その女の方は、今までお付き合いしたのは全部女の人だったこと、男は全く好きにならず、女の人だけ好きだということを打ち解け合いました。
また、女同士付き合うとやはり周りの人から偏見の目で見られて耐えきれなくなり失敗したこともあったなど悲しい話も聞きました。
それから、私たちはお互いの番号を交換して休みの日に外で会うことも増えていきました。私は、どんどんその人が好きになっていったのですが、どう考えているかさっぱりわかりませんでした。
ただの、友達として付き合っているのか、それとも少しは好意があるからこうやってプライベートで、あってくれるのかわからなかったのです。
ある時、二人で飲みにいくことになりました。お酒の強い彼女が珍しく仕事で疲れていたからか、ひどく酔っ払ったのです。それで、そのまま終電を逃してしまったので、私の家が近かったので泊めてあげることにしました。
そして家に向かっている時、彼女から私に抱きついてきたり手をつないだりとベタベタしてきました。でも、友達としてのスキンシップなのかよくわからず、戸惑ってしまいそのまま家に着きました。
そして、お互いすごく酔っ払っていたので、その日はそのまま寝てしまいました。彼女はとても子供のような寝顔で、すぐに寝てしまっていったのです。
そして、次の日に何事もなかったかのように彼女は起きてきました。そして「ありがとう、助かったよ!」と言って、帰っていったのです。
私はあまりにも彼女が普通の対応で、私に気がないんだなと思い自分の彼女への気持ちを押し殺すようにしようと考えました。もし、告白して今みたいに気軽に会えるような友達としての関係まで失ったら辛すぎる、と思ったからです。
それに大人っぽくて魅力的な彼女と、田舎っぽい私では不釣り合いで付き合うことなんて、とてもじゃないけど無理だと思い始めたのです。それからバーで彼女とあっても、お店のスタッフとお客さんとしてなんとなく一線を引くような感じで付き合うことにしていました。
すると彼女にもなんとなく違和感を感じたのか、お互い気まずい雰囲気になってしまったのです。
両想いだった彼女とのお付き合いと別れ
そして、違和感を感じながらも何回かバーに来てくれた彼女に私はそっけない態度になってしまっていたのです。
すると、ある日彼女からメールが来ました。
今度二人でじっくり話したいから時間を頂戴とのことでした。
それで、私たちは二人で会うことにしました。
そして彼女は「どうして私のことを避けているの?何か悪いことをした?」と聞きました。
私は「全然避けてないよ、怒ってもないから気にしないでと」言いました。
本当は告白したかったけど、恋愛で失敗して立ち直れる自身がなかったのです。
それで彼女は「避けられるとすごく辛くなってしまう、私はあなたのことが気になっている」と告白されたのです。
私はあまりに突然のことだったのでとても驚いてしまいました。
そして、今まで私のことを全然意識してなかったと思うけど、酔っ払った時にアピールをしていたんだと話されたのです。
でも全然反応してくれなかったから友達としてしか思われてないんだなと思って友達として付き合っていこうと思っていたのに避けられたから戸惑っていると言われたのです。
それで、実は私も好きだったことを打ち明けました。
そして、全然その気があるとは気づかなかったから、気持ちを諦めさせるために接点を少なくしようとしてしまっていたんだと伝えました。
私たちは両想いということがわかったのです。
すごく、嬉しかったです。
そして、私たちは彼女の休みの日にデートをしたり。家でくつろいだりと楽しい時間を過ごしました。外で堂々と手をつないだりは出来ませんでしたが、一緒にいるととても落ち着く大切な存在でした。
彼女は私よりもはるかにしっかりしていたので就活の時などたくさん励ましてくれて、私の心の支えになってくれたのです。私も彼女のために手料理を作ったりと彼女が笑顔で過ごせるように色々と尽くしたのです。
しかし、そんな楽しい時間は長くは続きませんでした。
私は就職して仕事が忙しくなるとなかなか会う時間がなくなっていってしまったのです。そして急に休みがもらえることになり、久しぶりに彼女に会えると、驚かせようと思い彼女のうちに勝手に行くことにしました。
合鍵を持っていたので、家に入ると知らない女の人がいました。
どうやら浮気をしていたようで私たちの関係はそこであっけなく終わってしまったのです。
だけど彼女と会えて、初めて女の人と付き合って男性と付き合うのとはまた違って繊細で静かなお付き合いがとてもたのしかったです。
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