LGBTの恋愛事情。ゲイを隠すために隠れ蓑にされていた切ない恋愛の話

男性二人

 

男性二人

合コンで出会った笑い声が素敵な彼

 

私が恋愛経験の中で失敗したのかな?と思った一つは、23歳の時に出会った人でした。

キッカケは合コンでした。飲食店に勤めていると言った彼を最初に見た時に、まさにタイプの人だ。と、思ったんです。

 

 

細身で、少し目元はキツそうだったけど、笑うと目尻にシワが出来て、その笑い声がとても素敵だったんです。実は私は声フェチで、男の人を好きになる時には、大抵声が良いと思う人を選んでいました。

 

合コンでは、彼も私との話しに笑ってくれて、思いきって連絡を交換して欲しいと言ったらアッサリOKでした。ですが、なかなか連絡も来なかったし、なんだか自分の方から連絡を取るのも違うような気がして、ひたすら待つ日々が続きました。

 

そんなある日、メールが来たんです。もう2週間もたっていたから諦めていたのですが、彼の方からもう一度会いたいと書いてありました。これはかなり脈がある。と、私も期待しました。

 

これだけ時間が空いてるという事は、彼は私に対してとても真剣に考えてくれているのだと思ったんです。友人にその事を言うと、「単なる忘れてただけだと思う」と、冷たく言われましたが、私は自分の考えを信じる事にしました。

 

待ち合わせ場所に行くと、彼が今まで連絡しなかった事をお詫びしてくれました。そして、その理由は私との真剣交際を考えての事だと言うのです。

 

嬉しくて、嬉しくて。私は有頂天でした。

 

 

早速、友人にその事を報告して、あれだけ冷ややかだった友人も喜んでくれました。それからというもの、私は彼と頻繁に連絡を取り合うようになりました。私もその時には、飲食店で働いていたのですが、私は昼間にファミレスで働いていましたし、彼は夜に居酒屋で働いていて、正直、時間のズレは大きかったです。

 

 

彼の店に会いに行っても、仕事が終わるのは朝方という事で、結果的にはほんの数分会って帰る。というような現状でした。

 

 

ですが、私はそれでも良かったんです。だって、メールは一日に何度もやり取りしていたし、お互いの休みが合えば映画やボーリングに行ったりしてたので、これで充分だと思いました。
それに、もしかしたら将来的には結婚だって可能性はある訳ですから、会える時間が多少減っても仕方がないと思ったんです。

 

その分といってはなんですが、会える時には、思いっきり甘えるようにしていました。そんな私に、彼はいつもニコニコして、私のワガママを聞いてくれるのですから、それで私は満足でした。

 

 

キスもスキンシップもまったくない

 

ある意味。彼との付き合いで不満があるとしたら、それはスキンシップのなさでした。

 

 

とても優しくて、真面目な人ですが、これほどまでにスキンシップがないのはなぜなのかと思いました。最初は、潔癖症なのだろうかとも思ったんです。

 

 

でも、私が手を繋ごうと言ったら素直に繋いでくれますし、私が抱きついても嫌な顔はしませんでした。だったら、どうして触れてはくれないのでしょう。

 

 

初めてのキスだって、交際してから三ヶ月はたっていました。

それも私がせがむような形でのキスで、女性としては恥ずかしかったです。

 

 

こういう恋愛って、かなり若い時の恋愛ですよね。もちろん交際してすぐにキスやその先を望んでいる訳ではないのですが、それでもやっぱり三ヶ月何もしてこないというのは、なんだか変な感じです。

 

友人にその事を相談すると、私のアピールが足りないからだと言うんです。確かに、女の子らしいファッションもしてはいないし、胸も大きくはありません。

 

 

友人いわく、私のガードが固いと思い彼が何もしてこないのではないかというものでした。確かにそうかもしれないと思い、次に会う時には、かなり気合いを入れていきました。

 

 

寄せてあげてくれるブラをつけて、出来るだけ胸を強調するような服を着て、行動も女の子らしい振る舞いを心がけました。ですが、やはり何もしてはくれませんでした。

 

私は迷いました。こんな事を男の人に聞いても良いのか、かなり悩みました。でも、思いきって聞いてみようと思ったんです。

 

「どうして、何もしてくれないの?普通の恋人ならキスぐらい普通にするし、家にも入れてくれないなんて変だよ」と、私が少し怒った口調で言うと、彼はかなり慌ててました。

 

キスをしないのは、自分はそういう行為にあまり興味がなくて、私の事が嫌いな訳ではない事。家に入れないのは、お兄さんと二人暮らしだから、気軽には呼べないというもの。

 

 

でも、ちょっとアヤシイと思ったんです。

 

 

もしかしたらお兄さんと言っているけど、女の人なのではないかと思ったんです。すると彼がお兄さんを紹介すると言って自分の家へと案内してくれました。

 

 

お洒落なマンションはお兄さんが借りているらしくて、ドアを開けると、確かに男の人が出てきました。彼とはあまり似てはいませんでしたが、明るくて感じの良い人でした。

 

私は少しだけホッとして、彼への誤解を解きました。
確かに、男性だからといってそんなにそういう事がしたい訳ではないですものね。先走ったのは失敗だったと反省しました。

 

 

怪しいお兄さんとの関係

 

彼との交際の中で、変だな。

と、思うと事が日に日に増えていきました。

 

まずは居酒屋に会いに行っても、私にすぐに帰るように言うんです。彼が言うには、私の体が心配だからという事でしたが、私だって子供ではありません。それなのに、やたらと早く帰そうとするんです。

 

それに、メールの文章がなんだか変わった気がするんです。まるで別の人が打っているみたいでよそよそしいんです。その事を彼に聞くと、忙しかったからとか、眠かったからというもので、私は到底納得は出来ませんでした。ですが、他人が打つはずもないので、私は彼を信じる事にしました。

 

ですが、最大の疑惑があるんです。
なぜか大事なイベントはお兄さんと二人で過ごすんです。

 

彼の誕生日にレストランを予約すると、その日はお兄さんと旅行に行くから無理だとか、楽しみにしていた海や花火大会にも必ずお兄さんが一緒に来るんです。

 

 

最初は、単なる偶然だと思いました。でも、海も花火大会も出来れば二人っきりで見たかったんです。

 

私は、彼のお兄さんに嫉妬していました。仲が良いのは良いのですが、三人でいても会話はほとんど彼とお兄さんがしていて、私はほったらかしなんです。これってどういう事なんだろうと思ったんです。

 

 

ふと浮かんだ考えに、私はまさかと思いました。

そんな事ってあるのだろうかと。

 

 

だから、思いきって聞いてみました。それは、私の考えが間違っている事を確かめたかったからなんです。

 

「お兄さんとまるで恋人同士みたく見えるんだけど、違うよね?」

 

私の予想では、彼が笑って違うと言ってくれると思ったのに、彼は露骨に動揺していました。

 

 

そして、なぜ分かったのかと私に尋ねました。

 

頭の中が真っ白になるってこういう事かと思いました。

 

そもそもお兄さんではなく、お兄さんと紹介してくれた人は彼の恋人なんだそうです。なぜ私と付き合ったのかと聞くと、勤めている居酒屋で彼女がいないのはおかしいと言われたらしくて、誰かと交際しなくてはと思ったそうです。

 

 

そこで合コンに参加して、私なら良いかな。と、思ったそうなんです。

一緒に住んでいる恋人にも話してあると言っていました。彼は、私の事を利用する形になって申し訳ないと謝ってくれました。

 

 

私は涙が止まりませんでした。

 

彼の気持ちがどうであれ、私は真剣に恋愛していたつもりだったんです。

 

それなのに、こんなのってないと思いました。彼の事を心から嫌いになれたら良いのに。

そう、思いました。

 

 

だから、私はこの恋愛を失敗とは思いたくないので、彼の事も嫌いにはならないと思いました。

 

43歳 在宅ワーカーのそれでも嫌いにならないゲイだった彼との恋愛の話

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