職場の頼れる上司の彼氏。恋愛上手でデートも完璧な彼の唯一にして最大の欠点。

上司

上司

男らしい頼れる上司

私が派遣として前の会社に勤めていた時の話です。

その会社には事務の派遣として行っていたのですが、そこで彼とは出会いました。今思うと上司である彼に恋をすることになるなんて考えもしなかったです。

 

 

事務の経験が初めてだった事もあって、よく失敗ばかりしていました。そんな私に彼は厳しくも優しく指導してくれ「頼れる上司」という存在でした。

 

また外交のある会社だったので、取引先と英語で話す事もあったのですが、彼は英語も堪能でスラスラと電話で話している姿をみて、尊敬もしていました。そんな上司の彼とプライベートを一緒に過ごしたのは、残業終わりに会社の人たちと一緒に飲みに行ったのが始まりでした。

 

 

私は入ったばかりの頃だったので知らなかったのですが、後々話を聞いてみると、彼は後輩の子たちと仲が良かったようで、私が入る以前からよく残業終わりに飲みに行っていたそうです。

 

 

さっそくみんなで乾杯をし、ワイワイとした飲み会が始まりました。

彼は意外にもお酒には弱いそうで、部下の子たちから「そんなにガバガバ飲むとまた潰れて失敗しますよ〜。」と言われていました。

 

私はそんなみんなの様子を見ながら、端の方で飲んでいると彼が側に来てくれました。

「飲んでる?」という話から、なぜか自分の恋人の愚痴を始めた彼。そんな彼に私はどうしたら良いのか分からず、とりあえず話を聞いていました。

 

彼には年上の彼女がいたのですが、最近彼女のことが本当に好きなのかどうか分からなくなってきたと話しました。

 

はじめは、彼女の姉御肌気質に惹かれ、社会人になりたてだった自分のことを引っ張っていってくれるのが心地よくて好きになり付き合ったそうなのですが、年が経つにつれ会社でのポジションも上がっていき、後輩も増えてきて、自分がしっかりしなければと思ううちに、彼女の上から目線で話すところがだんだん気になるようになり、今の気持ちにいたったそうです。

 

 

「付き合ったの失敗だったかな〜。」

 

そういう彼の言葉に恋愛をしたことがない私はどう答えて良いのか悩みました。

とりあえず無難に「そんなに大変だったら、別れたらいいんじゃないですか?」と答えると彼も「そうだなぁ〜。」と言っていました。

 

 

そして、飲み会があって1週間が経った頃、彼から「彼女とは別れた。」という話がありました。

 

あまりに突然のことで、私は驚きのあまり言葉が出てこなかったのですが「ま、恋に失敗はつきものだよ。」そう言った彼がどこか吹っ切れた感じに見えたので、私は少し安心しました。

 

大人な恋愛でデートも完璧

それがきっかけで、彼とは残業終わりによく飲みに行くようになりました。

その度に彼は前の恋について自分なりにどこが失敗だったのかを語るようになり、私はそれをひたすら聞くことに徹しました。

 

 

そんなある日、いつものように飲んで話していると、彼から「そういやAちゃん(私)は彼氏とかいないの?」と聞かれました。

 

 

私は正直に「好きな人がいたのですが、ずっと片思いで想いを伝えられないまま離れ離れになってしまって…それから恋はしてないっていうか、できてないっていうか…。」そう話すと、彼は黙り込んでしまいました。

 

私の恋話はいらなかったのかな。。

そう思っていると、彼が突然「俺たち付き合わないか?」と言い出しました。

 

 

あまりに突然の出来事だったので、どうしてそうなったのか頭が追いつかなかったのですが、彼に「俺、前の失敗があったからこそ、Aちゃんのこと大事にできると思うんだ。」と真剣に話す彼をみて、付き合ってみることにしました。

 

 

それから、私たちは毎日飲みに行くようになり、休みの日にはデートをするようになりました。

 

私は男の人と付き合うのが初めてだったので、「デート=遊園地」と思っていたのですが、彼と行くのは映画や食事、水族館など落ち着いた場所が多く、大人の恋愛をしているのが自分が大人になったような感じがしてとても嬉しく楽しかっです。

 

 

そして彼とのデートを重ねるうちに、頼り甲斐のある彼のリードに心を奪われました。デートの日はもちろん、行き先やプランも彼が考えてくれて、優柔不断な私はとても助かりました。

 

 

デート中も自然と手を繋いでくれたり、道路側を歩いてくれたり、そんな彼の行動に恋愛初心者の私はいつもときめいていました。たまに渋滞に巻き込まれてデートプランが失敗に終わることもありましたが、私は車内で彼と話をしたり彼と過ごせるだけで幸せでした。

 

 

いつしかお互いの家族の話もするようになり、彼が「早くAちゃんのところに挨拶に行きたいなぁ〜。」と言うので、私は「まだ早いよ。」と笑いながら流しました。

 

 

彼との恋は楽しかったのですが、何せ男の人と付き合うのが初めての私には親への挨拶が結婚の申し込みのようにも思えてしまって、まだ早いと思ってしまい、この時彼が結婚を急いでいるということは少しも考えていませんでした。

 

 

盲目と言うのでしょうか、この時彼にみられた兆候を私が感じとれていたら、あんな失敗はしなかったのではないかと今更考えてしまいます。

男らしい彼に隠された秘密

付き合って3ヶ月が過ぎた頃のことです。

初めて私の家へ彼を招きました。

 

 

その日は両親共不在で、彼と私の2人きりでした。恋人と家で過ごす喜びに胸が弾みました。部屋に上げ「ゆっくりしてね。」と声をかけると彼は「ありがとう。」と言って上着(コート)を脱ぎ始めました。

 

 

(ハンガーがいるな。)

と思っていたその時、ポイッと彼がコートを手から落としました。

この彼の行動に

(手が滑ったのかな)

と思っていました。

 

 

彼は家では靴下を脱ぐらしく「靴下も脱いでいいかな。」と言い脱ぎ始め、またしても脱いだ靴下をポイッと投げ落としました。

 

 

勘違いではないと気づいた私は、ひとまず彼のコートと靴下を取り、コートはハンガーにかけ靴下はその下にまとめて置きました。

 

 

このようなことがお互いの家を行き来する中で目立つようになりました。不思議には思いましたが、私とは育ち方が違うんだと思い、気に留めていませんでした。

 

 

そんなある日、彼の家に行き衝撃の出来事と事実を目の当たりにしたのです。

 

 

その日は彼のお母さんがいらっしゃいました。彼のお母さんは「いらっしゃい。」と笑顔で迎えてくださり、私も安心しました。

 

 

先頭を歩いていた彼が「ただいま〜。」と言って上着を脱ぎ始めました。私の予想通り、彼は脱いだ上着をポイッと玄関口に落としました。

 

(この上着、私が拾うべきかな。)

そう悩んでいると、彼のお母さんがスッと来て、当たり前のように彼の上着を拾いました。

 

 

その姿に私は目が点になりました。

 

彼のお母さんなら「いつも上着をポイッとしないでって言ってるでしょ!」とひと言お叱りの言葉があってもいいはずなのに、なんでもないように上着を拾うだなんて、彼のことが怖いのかしら。

 

 

そんなことを考えている間も、彼のお母さんは彼が脱ぎ捨てた靴下やカバンを拾ってはまとめていました。彼が部屋着に着替え終わり「今日の夕ごはん何?」と聞く彼に「クリームコロッケよ。」と答えるお母さん。

 

 

すると彼が「わーい!俺の好きなお母さんのクリームコロッケだ!」と言いました。

 

 

私は彼のこの発言にまた目が点になってしまいました。

先ほど彼のお母さんは彼のことを怖れているのかと思っていましたが、違いました。彼はお母さんにとってまだまだ子どもで、彼はお母さん大好きっ子、つまり「マザコン」だったのです。

 

 

この衝撃の出来事と事実に、私は開いた口が塞がりませんでした。そして初めて「彼と付き合って失敗したな。」そう思いました。

 

 

しかし、こんなことがあっても初めての恋人である彼との別れを考えられない私は、彼との付き合いをズルズルと続けていました。今思うとこれが失敗の始まりでした。

 

 

付き合いを続けていくうちに彼の態度も横柄になり始めました。ある日、いつものように上着を脱ぎ捨てた彼が私に言いました。

 

 

「前から思っていたんだけどさ、俺が脱ぎ捨てた服を畳もうとしないのは何でなの。」

私は開いた口が塞がりませんでした。

 

 

私たち夫婦じゃないですよね?恋人ですよね?恋人で何でそんなことしないといけないの?そう心では疑問に感じていましたが、彼の圧に負け、言うことを聞いていました。

 

 

これも私の失敗したところで、彼の言いなりになるべきではなかったのです。

 

結局、私と彼の価値観の違いが浮き彫りになっていき、彼といるのが辛くなり、別れることにしました。初めての恋愛がこんな形で終わってしまい、次の恋を見つけられるか不安ですが、この失敗を次に活かせるよう頑張ります。

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