初めて自分から想った相手は職場の先輩
これまで恋愛における失敗は数々ありますが、1番の恋愛の失敗は恋愛を出来なかったことです。私の中で恋愛は、お互いの想いが通じ合って初めて始まるものなんです。だから、自分の想いが通じなかったらそれは失敗なんです。
大学を卒業して初めて務めた職場で、私は先輩社員に恋をしました。特別優しい訳でもありませんが、仕事のできる寡黙で男らしさを感じる素敵な男性でした。
そんな人なので、職場でも仕事以外のことを話している場面を見かける事はほとんどありませんでした。もちろん私が個人的に会話することもなく「ただの先輩」という印象を持ったまま、1年半の月日が過ぎました。
1年半も経つと職場の雰囲気にも慣れ、職場での人間関係の把握もある程度できるようになってきます。日常的に冗談を言ったり、プライベートな話をすることも増えてきました。
そんな中でもその先輩だけは、自分から積極的にみんなの会話の輪に入ってくることはありません。ノリが悪いとか、みんなから避けられてるとかじゃないんですが「あいつは自分のペースで生きているから、そっとしておこう」みたいな感じで職場では接していました。
そんなある日、私、先輩、先輩と同期の女性が上司に呼ばれました。その3人でチームを組み、新しい企画を進めるよう指示がありました。
女性の先輩は明るくて気さくな人で、後輩みんなから慕われるような素敵な人です。二人は同期ということで、先輩とほとんど会話をしたことのない私にとっては、彼女がいる事でとても心強く感じた事を覚えています。
いざプロジェクトを始めると、二人の仕事のスピードと能力についていくのがやっとで、毎日が勉強の失敗の日々でした。でも苦しいとは思わず、3人で仕事をする日々が楽しくて仕方ありませんでした。
そんな日々の中で、私は彼に対する特別な想いを抱くようになりました。今まで自分から誰かを想うことなんてしたことのない私にとっては、初めての経験です。
職場での恋愛はリスキーだからと勇気が出せず
先輩二人に必死になって着いていくのは、とても大変でとても楽しい日々でした。二人と一緒に仕事を出来るのが楽しくて、その時期は職場に行って二人と仕事をすることが、私の生きがいとなっていました
そんな日々を送っていると、おのずと二人の性格や関係性が見えてきます。二人は同期だけあってとても仲が良いんです。仕事の最中に目が合って笑いあったり、仕事の相談をするときもやけに距離が近かったり。
そんな様子を見ても、初めのうちは何とも思わなかったんです。ただ日を追うごとにその光景を見ると、なぜか無性にモヤモヤする自分がいる事に気づきました。
初めはそのモヤモヤがなんなのか分からなかったんですが、ある日突然、先輩の顔を見て「あー。この人のこと好きだな。」と感じたんです。
自分でも不思議で、何が好きとか、どこが好きとかは全く分かんないんですけど「好き」という気持ちだけははっきりと感じる事ができました。
でも職場で恋愛をすること程リスキーなことはありませんし、失敗したときのことを思うと、この気持ちを伝えたいなんて気にはなりませんでした。
自分一人の職場恋愛。
それでも、3人の時間は同じようにやってきて、先輩への想いを募らせる一方で、二人の関係に嫉妬するという毎日でした。
もちろん仕事はちゃんとしますが、それでもやっぱり気になるのは二人の関係。思い切って、「二人は付き合ってるんですか」と聞いてみました。
すると「ただの同期だよ」という答えが返ってきました。
今ならその言葉を信じて先輩にもっと想いのままに当たっておけばよかったなと思います。結論から言うと、私は自分の想いを先輩に伝えないまま、この恋を終わらせました。恋愛にすることを自分から諦めたんです。
理由は「職場で恋愛をするのはリスキーだから」「失敗したら後の関係が怖いから」だと自分には言い聞かせました。
でも本心は、勇気が無かったんです。
二人が付き合ってなかったとしても、その間に割って入る程の勇気が無かったし、告白して失敗した時に二人とのこの時間が無くなるのも嫌だったんです。
そしてなりにより、私が好きになったのは女性の先輩に笑いかける時の笑顔と雰囲気だったんです。
もう、初めから負けてたんですよね。女性の先輩にも自分にも。
そのあと私は転職をしその職場を離れました。風のうわさで聞くと二人は結婚をして、今はお子さんも生まれ幸せな家庭を築いているとのこと。
あの時私が動いて、この未来が変わったかどうかは分かりません。それでも動くべきだったと思います。
今、この恋に後悔しかないから。
その後、沢山の恋愛をしましたが、恋のまま終わったものはありませんでした。後にも先にもこの一回だけ。想いが通じなければ、それはただの恋なんです。
だから、私の恋愛での失敗は恋愛にできなかったこの恋です。