刺激のない恋愛から彼氏と別れ、新たなる恋愛を求める
私の恋愛偏差値は平均点という感じで、過去に大きな失敗もありませんでした。
28歳になるまでに、男性とは2回お付き合いをしたことがありました。
最初は5個上のアルバイトの先輩。次は大学で同じクラスだった人。2人に共通していたことがありました。
それは、悪く言えば「無難な人」な人で、よく言えば「いい人」であること。そして、申し訳ないことではありますが相手が私を大好きであるという2点でした。友人たちからは羨ましがられるような大手企業に就職していたので、どちらの人とも、仮に結婚まで進んでいれば将来は安泰だったのかもしれません。
しかし私の中には天の邪鬼が住んでいました。
この天の邪鬼が「私にとっては手痛い失敗」を招いたので、反省の意味も込めて書いてみたいと思います。
大学で出会った彼とは、恋愛は順調に進んでいて、二人とも希望の仕事先に就職することができました。
二人の間には、
「仕事が落ち着いたら、このまま結婚するかもしれない」
と言った雰囲気がありました。しかし、天の邪鬼は私に囁きます。
「本当にこれで満足しているのか?」
「人生つまらなくないのか?」
私には刺激が必要でした。
今まで恋愛的にも他の部分でも、失敗や挫折を味わうことなく来てしまい、なぜかここに来て、このままではつまらないと感じてしまったのです。これが失敗でした。
しかしどんどん彼との付き合いがつまらなくなっていき、ついに些細な喧嘩をきっかけに、
「じゃ、別れよう!」
と言ってしまったのです。
彼はまさか本当に別れるとは思っていなかったようで、驚きながら私を諭しましたが、私は彼に連絡を取ることはありませんでした。
こうして28歳にして、
「刺激的な人と付き合いたい」
という願望を満たすための恋愛相手を探し始めました。
実は妹が芸術家をしていることもあり芸術家に憧れがありました。妹と違って、一般企業に勤めていた私は、その「才能で生きる」といった世界観が魅力的に思えました。
そんな思いを描きながら生活していると不思議なもので、引き寄せられるようにバイオリニストの彼と出会いました。
私は近所によく行くカフェがあって彼もそこの常連でした。たまに顔を合わすこともあったので、存在は知っていたものの特に意識することもなく過ごしていました。
ひょんなきっかけで話をしてみると、彼は私と同じ年齢でプロのバイオリニストをしているということがわかったのです。
バイオリニストとの本当の恋愛?
彼と話していると、全く違う世界の話を聞いているようで全てが刺激的に感じました。彼は朝から晩までバイオリンの練習をしていて、今ままで1人の女性としか恋愛をしたことがないということでしたが、私にとっては
「バイオリンに選ばれた人」
「バイオリンに捧げる人生」
というのが素晴らしくカッコよく思えて彼にどんどん夢中になっていきました。
そうして私は今まで以上にそのカフェに通い彼との会話を楽しみにしていました。
彼もまんざらでもない感じで仲の良いカフェスタッフの人から、
「付き合っちゃえばいいのに」
とからかわれたりしていました。
告白すれば失敗しないだろうと思えるくらいに二人の距離は急接近していきます。そうして私はバイオリンの練習で忙しい彼をなんとか映画に誘い出しました。
芸術に関する映画を調べて行ったので、彼も興味を持ってくれ帰り道で私は初めて自分から告白をしました。彼は驚きながらも喜んでくれて、二人の恋愛はスタートしたのでした。
自分から告白した人と付き合うのは初めてだったので、私は「本当の恋愛」をしている気分になり有頂天でした。彼は忙しそうにしながらも、最初はすごく優しくて、メールのやり取りも頻繁にしていましたしデートも重ねていきました。
彼はやはり芸術肌ということなのか少し変わった部分もありました。
最初に、「あれ?」と思ってしまったのは過剰な自慢をしてくる点でした。
バイオリンの先生として生徒を教えているのですが、その生徒にいかに自分が厳しく接しているかといった内容をしつこく話してくるのです。他にも自分はこんなにすごい、というエピソードを次々と話してきます。
しかし、私は「本当の恋愛」を「失敗」とは考えたくなかったので、
「才能がある人なのだから仕方ない」
と自分に言い聞かせました。
私は音楽には特に詳しくなかったのですが、彼との会話についていくために色々なクラシック音楽を聴くようになりました。とにかく自分が彼に合わせなければという思いが強くなり、彼に全てを捧げるくらいつくしていました。この姿勢がさらにこの恋愛を失敗へと導きました。私は更に失敗を重ねてしまいます。
彼が忙しい時には「ご飯を食べれていないかもしれない」と思い、自分の仕事の合間を縫ってはお弁当を作り届けたりしていました。今思えば私の行動は行き過ぎていたのですが、彼は仕事の忙しさからなのかお弁当を持って行っても素っ気無く、ありがとうとメールすることもしてこないのです。
これには私も怒りを覚えました。
自分らしさを貫ぬく彼氏とは、やっぱり一緒にはいれない
どんどんと不満がたまっていき、私はどうしたらいいのかわからなくなってしまいました。まさか28歳にもなって恋愛でこんな失敗をするとは思ってもいませんでしたので、なんだか恥ずかしくて情けなくなってしまいました。
今まで友人には
「大好きなバイオリニストと付き合ってる」
といった風にしか話していなかったのですが思い切って相談をしてみることにしました。
すると友人は
「そんな恋愛は最低だよ」
と一蹴しました。
「いくら忙しくてもバイオリニストとして成功していても、お弁当を作ってくれる人にありがとうも言えないなんて人間としてダメだよ」
と言い切りました。
今思えば確かに友人のいうと通りで、好きな人を心配させないことや感謝を伝えることは恋愛というよりも人間として基本中の基本です。それができない人はどんなに魅力的な人でも長く一緒にいることはできるません。私はその人と恋愛がしたいのではなく、ただ芸術家に憧れた自分と違った人に興味を持った、というだけだったのです。
こうして自分の失敗に気がついた私は彼に連絡を取りました。
「大事な話がある」
と告げると彼は驚きましたが、すぐに会うことになりました。
私は今までの不満や心配だったことなどを素直に話し、二人は恋愛的には合わないので別れたいということを告げました。
彼は悲しそうな顔をしましたが、
「自分はこの性格を変えることはできないので別れた方がいいだろう」
といったことを話しました。
私は彼のためを思うと今後誰かと恋愛をしたり結婚をしたりするのであれば、
「人と合わせること」
「人の気持ちを考えること」
をしていかねばならないと考えていたのですが、彼はあっさりそれを否定し、
「自分は自分らしく生きる」
ことを断言しました。
その時はそんな彼に腹が立ったのですが、芸術家として生きるということはそうやって何かに没頭していくことで食べていくことなのかもしれないと今は考えています。
兎にも角にも、28歳になってからするような失敗ではなかったなあ、というのが彼との恋愛の正直な感想です。
周りは堅実な人と堅実な人生を歩んで幸せそうにしています。
今までになかった刺激を味わって私も充分に満足しましたし、ないものねだりの天の邪鬼なもので安定した恋愛をしたいと今は思っています。
皆様もどうせ失敗するなら若いうちにたくさん失敗することをお勧めします。
大人になると失恋は辛さを増しますよ。