嗚呼なんでこんな失敗に、昼ドラ真っ青のドロドロの恋愛の行方(閲覧注意)

恋愛 失敗 ドロドロ

思い返せばあれは高校の頃だったんだけど

当時、高校生の私たちグループはみんな仲が良くて、自然と付き合い出す子達が多かった。私もまたグループの1人と付き合い始めて、青春恋愛真っ盛り、という感じだった。
しかし、ある日そのグループの内1人がストーカーにつきまとわれているという事実を知った。最初はささやかな嫌がらせだったから、無視すればいい、付き合わなければいい、と私達はその友人(これからAとする)に言っていたのだけど、それがまず失敗だった。
そのストーカーはどんどんやることがエスカレートしていった。毎日毎時間のように送られる長文メール。時にはAにえたいの知れないドロドロした液体をぶっかけたり、Aの付き合っている相手(これからBとする)に対し嫌がらせをしようともしていた。
流石にこれは放っておけない、ということで私は当時恋愛関係にあった相手も一旦放置して、全力でその友人を守って助けになろうとした。
……それで、これがまたややこしいことになるんだけれど。Aのストーカー騒ぎで疲れていたBにちょっかいをかけてくる人間が出てきた。

AとBが恋愛関係にあると知っていて、だ。

それなのに、Bも悪い気ではない様子で……とにかく傍目から見てドロドロな関係になっていった。
次に失敗した、と思ったのは深夜にAから来たメールを見たときだ。Aはストーカーのことと恋人の浮気?と思われる行為に疲れ切って、自殺すると言い出した。

さっきも言ったとおり時間は深夜。

私とAの家は遠い。

とにかくメールして、電話もして、必死に止めた。

 

幸いBはAと家が近かったし、私はBにも即連絡して、自分もすぐに家から飛び出せるように一睡もせずBがAを止めてくれることを祈った。

……結果から言えば、Aは飛び降りたところを木に引っかかって軽傷で済み、すぐにBが助け出してくれたので良かったのだけど。
それでも私は腹立たしくて、Aの顔を見た時は思わず引っぱたいてしまった。
AもBも私も疲れ切っていた。そのせいで、私は自分の恋人と最終的に別れるほどの失敗をしてしまうのだけど、それは今回の件とはまた別になるから話さないでおこう。
でも、終わったと思っていた。こんなドロドロした高校生活、きっともう終わりだと思っていた。……私は甘かったのだ。

 

消えたメール、残った苦い記憶

結論から言ってしまおう。結局、何一つ解決なんて出来なかったのだ。私は最終的にとんでもない失敗を犯していたことを後に気づいてしまった。
Aのストーカーは亡くなってしまった。

自殺などではない。命に関わる病を持っていたのだ。

 

元々は純粋にAに恋愛感情を持っていたのだろうけど、長く保たない命と聞いて例え傷跡でもいいからAに自分がいた記憶を刻みたいとでも思っていたのではないか、というのは私の憶測だ。だからといって、ストーカーをしたことを許す気はないし、この世にいない今となってもそのストーカーのことは頭から離れない。
そして、私達の幸せな恋愛に溢れた高校生活もボロボロになってしまった。

前に書いたとおり、私はAとBのことにこだわりすぎて恋人をないがしろにしてしまった結果、恋人と別れることになってしまった。

幼いが故の失敗、お互いに心の余裕がなかったといえばそれまでだけど、私は当時本当に恋人のことが好きだったし、ドロドロした関係の中での清涼剤だったから今でも思い出すと馬鹿なことをしてしまったと思う。
話が逸れたけれど、AとBのことにも触れておこう。

 

まずはBだけど、向こうはおそらく今も元気にしていることだろう。数年前に一度再会したとき、恋人はいないなんて苦い笑みを漏らしていたけれど、少なくとも高校の頃のようなドロドロした空気はすっかり消えていた。
ここまで書いて、予想できた人もいると思う。

 

……Aは亡くなってしまった。

死因は自殺。ここが私の最大の失敗だ。
ストーカーが亡くなった事実を知ってから、私達グループの間には沈黙が落ちていた。誰も恋愛に浮かれているような状況ではなかった。聞けば、ストーカーは元々Aの友人だったという。Aのショックは計り知れなかっただろう。
そんなある日、何気ないメールをAと交わした。

本当に他愛ない、ささやかなものだったと思う。だから、私はそれがAとの最後のメールになるとは思わなかった。そう、そのメールの翌日に、Aは亡くなってしまったのだから。
そして最後に、私は同じグループ内にいた友人から信じられない事実を聞いた。

Aは本当は私のことが好きだったのだと。

でも言い出せずにいて、その間にBから告白されて、私も恋人が出来たから、黙っていようと思ったと。それでも好きだったから、最期は私と話して生涯を終えたいと思っていた、と。
なんで気づけなかったのだろう。なんで言ってくれなかったのだろう。なんで、なんでと私は自問自答を繰り返し、ドロドロとした感情にまみれて苦しんだ。泣くことさえできなかった。
今、20代になった私には恋人はいない。

高校を卒業してからぽつぽつと付き合った相手もいたけど、どれも上手くいかなかった。

携帯も機種変をしてしまい、あのメールはもう残っていない。

 

それでも、時折脳裏によみがえるあのささやかなメールが、私にもう一歩を踏み出させることが出来ずにいるのだ。

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