スタートは順調、二人の一目惚れ
私は現在、社会人3年目の都内勤務の女性です。
この年まで恋愛で数々の失敗を繰り返してきました。
今は独り身ですが、一人の生活に徐々になれてきて居心地がよく、恋愛から遠ざかってしまうんじゃないか、といううっすらとした恐怖心はあります。
恋愛での数々の失敗の中でも特に強烈だった失敗についてお話したいと思います。
私が失敗したというよりも相手選びに失敗したのかな、というお話です。
私は地方出身で都内の大学に入ったのですが、生活を親の仕送りのみに頼れる環境になく、入学式を迎える前からアルバイト先を探していました。
先に状況していた私の従妹から、アルバイトをするなら何か手に技術がつくものがいい、そして男女比が半々のバイト先なら彼氏候補の選択肢が大学でジッとしているよりも広がる、とのアドバイスをもらいました。
その頃の私は高校の時に一回彼氏がいただけで、まだ恋愛がどういうものかもよく分かっていなかったと思います。従妹からの彼氏の選択肢が増えるというアドバイスは特にピンと来なく、手に技術が付くアルバイトというのが腑に落ちたので、そういう系統のアルバイトを探しました。
大学からよりもアパートに近いほうが疲れた時にはいいかな、と思ってピンと来たのが隣駅の近くにあるスペインバルのホール、いわゆるウェイトレスのアルバイトです。
時給は950円で、東京では並ぐらいだと思うのですが調理も経験させてくれるとの事で面接に行き採用されました。
入学前の3月下旬から早速働き始めたのですが、初日から調理場にとても気になる、ルックスがとてもタイプの男の人が働いていました。
それが後の彼となる人です。
のちに聞いた話ですが、彼のほうも私のことが最初から気になっていたようです。
久しぶりの彼氏、ひっそりとしたデート
私は慣れないウェイターを注文を間違えたり、グラスを壊すなどして何度も失敗を繰り返し、何とかこなしつつも頭の片隅で彼のことがずっと気になっていました。
梅雨が明ける前の事だったと思います。
彼と私は帰り道が別の方向だったのですが、沿線の駅に美味しいお店がある、と彼から食事に誘われました。
お互いに好意を持っていたのは何となく分かっていたのでその日のうちに距離が縮まり、恋愛に発展しました。
約2年ぶりの恋愛です。
前の恋愛は何か失敗したというわけではなく自然消滅でした。
その恋愛から失敗を避ける方法など何か教訓が得られていれば、この恋愛もまた違った形に発展したのかもしれませんが、この頃の私は今振り返ってみても、ただただ純粋で相手を疑うということは1ミリもありませんでした。
交際をスタートさせた日にお互い、アルバイト先に気を使わせないようにしようということで意見が一致し、アルバイト先では交際のことは秘密にしていました。
お互い大学では相手がいることは言ってましたし、互いの友達にも紹介していました。
デートをするのはお互いの家か、沿線から離れたところが多かったです。
良くデートしたのは横浜界隈でした。
買い物は横浜駅近辺、そして横浜のデートのド定番、山下公園にもよく行きました。
どこにどの鳥がいるかまで覚えるほど、しつこく行きました。
赤レンガ倉庫もいくつかのテナントの店員から顔を覚えられるほど行きました。
このマンネリ、ワンパターンのデートを繰り返していたのが、後の失敗に繋がったのかもしれません。
冬の寒空の下、最悪の浮気現場にベランダで2時間。
交際は順調に続き、そのうち友達カップルを交え、ディズニーランドに行ったりダブルデートみたいなこともよくしていました。
ただどの友達からも
「あの彼で大丈夫?」
みたいなニュアンスの事を聞かれていました。
恋は盲目とはよく言ったもので、何が問題なんだろう?とその都度聞き流していました。
今なら何が問題かはっきりと分かります。
見た目はカッコイイ、恰好も普通、ただ誰が見ても佇まいから独特のチャラさが出ていました、緊張感がないというか。
友達の声に耳を傾けていれば失敗は回避できたかもしれません。恋愛に限らず、人の声に耳に傾けるのは失敗を避けるためにも大事ですね。特に恋愛の場において、客観性は保ちにくいので、友達とかの第三の目は大事です。
付き合ってそろそろ1年半ほど経ったころでしょうか。
その時はやってきました。
彼への好きな気持ちは変わらず、ただただ幸せな恋愛に浸っている気でいました。バイトがお互い早く終わった日はどちらかの家に行くことが恒例になっていて、その日のバイト終わりは彼の家に行くことになりました。
部屋でまったり過ごし、その日は彼の家に泊まっていこうと彼の部屋に置いてある部屋着に着替えている途中に事は起こりました。
アパートの呼び鈴が私の着替えている後方でなり、ドアのほうに確認に行った彼が慌てて私のほうに来て腕を掴み、
「とにかくベランダに出て」
と着替えの途中の状態で布団とともにベランダに出されました。
部屋のカーテンは閉じられ、中の様子を伺うには音のみです。
ドアの開く音、そして女性の声。
鈍感で彼のことを信じていた私は、お姉ちゃんか誰かかな程度に聞いていました。
じきにその誰かを帰して私を中に入れてくれるだろうと確信していました。
ところがその女性の声は徐々に大きくなっていき、窓際にある彼のベッドにあがり、
そして。
それから2時間、私は冬の寒い空の下、従順に布団に包まってその女が帰るのを待ちました。
なんて気弱だったのでしょう。
この気弱さに付け込まれ、この恋愛は失敗したのだと思います。
そこで窓を開け、突入していればもっとスッキリした別れ方を出来たのかもしれません。
交際中、浮気されていることにまったく気づけませんでした。
彼が白状するには前年のクリスマスから同時進行でその女とは付き合っていたとのこと。
今思い返せばおかしな点がいっぱいありました。
あのベランダでの夜のことで私のプライドはズタボロになりました。
本当に男を見る目が無いというか。
この恋愛での失敗を胸に、たまには疑ってみることも必要だと思いました。
恋の盲目は危険です。自分の参謀となってくれるような心強い同性の友達を見付けましょう。